米ソ冷戦が深刻化した50年代に、戦争の原因を突きとめ平和の諸条件を探究する“平和研究(平和学)”が生まれた……らしい。
恥ずかしながら浅学にして、初めて「平和学」なるものがあることを知った。
それだけでも本書を手にした価値があったというもの。
「平和学」の現在は、70年代のデタントやイラン・イラクなど第三世界の軍事化、またボスニアなど民族のアイデンティティーをめぐる紛争や、開発至上主義による途上国の貧困化が研究対象になる。
日本の開発援助も視野に入れ、「下から」の、「民衆」の視点に立つ研究のあり方を追究した著者の講義をまとめた一書。