NHKでドラマ化され、再放送までされています。
かく言う自分自身も、ドラマを観てからこの原作「
ハゲタカ」を手に取った1人。
ただ、最初に言っておくべきでしょう。ドラマと原作は、まったく違う展開をたどります。
ドラマはドラマで引き込むものがありました。民放には作れないドラマだなと。
登場人物については、実力ある俳優陣が演じただけに、個々については淡々と描かれる原作より魅力的だったかと思います。
現にこうして原作を手に取らせることに成功しているわけで、それはそれで大したことです。
それでもやっぱり、原作に沿ったドラマも観てみたい。
ドラマの「
ハゲタカ」しか観たことがない人は、是非、原作も読んでみてほしいです。
実際に日本で起こっている企業の「再生」「合併」「買収」など、きれい事ではすまないドライな経済競争・経済戦争が、自分のような素人にもピリピリしたせめぎ合いを実感できるほどに、丁寧に描かれています。
上下巻にわたるボリュームも、一気に読めます。
特に、現実社会でも「ハゲタカ」として忌み嫌われている感のある「ファンド」が、何を目指し、どういう役割を果たしているのかが分かります。
それを象徴する鷲津という存在が、下巻の途中以降、さまざまな思いや背景が明らかになる中で、浮き彫りになってくる課程が、読者の「ファンド」に対する理解と重なるのは当然でしょう。
繰り返しになりますが……やっぱり、原作に沿ったドラマも観てみたい。
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