この「
私は日本のここが好き!―外国人54人が語る」では、副題にもある通り、54人の外国人が、自分が日本を好きな理由や体験を語っている。
例えば中国から日本に来て20年という姚南さんは、電車の中で後ろの女性の靴先を踏んでしまった時のエピソードを。すぐ謝ると、その女性はほほ笑んで「靴先は空いているから大丈夫ですよ」と。
また、オーストラリアのスコチッチさんは、ある春、モノレールを利用した。同じ年の秋にまた来日した時、春の利用時にチケット代が過払いであったと150円入りの封筒を渡されたという。
やはり日本が好かれるのは、美しい自然・景色・歴史はもちろん、繊細な心のあり方だと気づかされる。
国際情勢の中で、必ずしも日本の立場は盤石ではない。反日感情をぶつけられる場合も多い。
そこにはやはり「私は日本のここが嫌い!」という原因がある。
好きな理由と、嫌われる原因。どちらも直視して、やっとそこから本当の人間関係、国家関係が築かれていく。
忙しい現代社会の中であっても、少し足を止めて、自分がよって立つ場を顧みることも必要だと思う。
本書は、そのきっかけにふさわしい一書だ。