本書『
歴史にみる「日本の色」』は、卑弥呼の古代から江戸期まで、日本人と色とのかかわりを、興味深いエピソードとともに紹介する。
例えば源平合戦で、源氏は白、平氏は赤の旗を掲げていた。
当時、武士は布を白地のまま使うのが普通だった。何かを書くにも便利だからだ。
その「白」に対して、平氏は敵味方の峻別のため分かりやすい「赤」を用いたらしい。
また、黄色は古代には、中国の影響で、尊い色とされたが、持統天皇の頃には庶民の色になった。そこには、黄の染料が豊富だった事情もあるなど。
「色」に込められたイメージや思いは、時代によって移り変わる。
それを眺めるように読むだけでも歴史の楽しさが感じられる。