副題に「知られざる粋人・金津滋の生涯」とある通り、著者・三鬼英介はお茶に関する本を書くための取材で出雲に赴き、金津滋という人物を知る。
小規模な茶の研究会「紅雪会」の中心的存在だ。
博覧強記。四、五千の茶道具を所有、書画、料理をはじめ、何をやらせても玄人裸足。制度化した茶道とは対極にある自由な茶を体現している。
金津へのインタビューを含め、茶を探究する著者に同行している気分にさせてくれる文章が魅力的。
ちなみにタイトルは、千利休晩年の言葉「(私の死後)十年ヲ過ギズ、茶ノ本道廃ルベシ」からとられている。