つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

2006年06月に書いたページ。日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

メイン | 2006年07月 »

2006年06月30日

「告発」鬼島紘一

 旧国鉄用地を独占せよ――ゼネコン首位の座を目指し、難波組は国鉄OBを中核に、特別チームを発足させた。
 彼らは鉄道用地管理公社に食い込み、入札に関する内部情報を巧みに入手、次々に落札を成功させていく。
 だが、設計技師の黒崎健三は上司の手柄話の端々から公社との癒着を疑いだす。
 やがて彼の下した決断とは……。
 談合、天下り、癒着といった構図が生々しく活写された、臨場感あふれる経済ミステリー。

2006年06月29日

「戦争を知るための平和学入門」高柳先男

 米ソ冷戦が深刻化した50年代に、戦争の原因を突きとめ平和の諸条件を探究する“平和研究(平和学)”が生まれた……らしい。
 恥ずかしながら浅学にして、初めて「平和学」なるものがあることを知った。
 それだけでも本書を手にした価値があったというもの。
 「平和学」の現在は、70年代のデタントやイラン・イラクなど第三世界の軍事化、またボスニアなど民族のアイデンティティーをめぐる紛争や、開発至上主義による途上国の貧困化が研究対象になる。
 日本の開発援助も視野に入れ、「下から」の、「民衆」の視点に立つ研究のあり方を追究した著者の講義をまとめた一書。

2006年06月28日

「魂丸」阿井渉介

 魂丸は大井川港所属の漁船。
 出漁中、小型船に接触してしまった。直後に大型船が現れ、甲板から銃撃された。
 乗客に事故の様子を証言させようとするが、逃亡を図ろうとし、さらに暴力団らしきグループから追撃を受ける。
 客は密入国者らしい。しかも仲間を蛇頭から救いたいようだ。シャチのあだ名を持つ主人公は手を貸すことに。が、逃避行は困難また困難……。
 海の男の血潮たぎる魂を骨太に描いた長編アクションだ。

2006年06月27日

「一瞬の光のなかで」ロバート・ゴダード

 イギリス人カメラマンのイアンは夫ある女性・マリアンとの恋に落ちた。しかし彼女は突然に姿を消してしまう。
 必死に足跡を追うが、次々と妨害も。
 やがて彼女を診た心理療法医を探し当て、マリアンの不思議な心理体験を明かされる。
 それは写真術の黎明期の歴史上の人物が彼女に憑依したという現象だった。果たしてマリアンの正体とは……。
 謎また謎の目まぐるしい展開を、見事にまとめた構想力が光る一冊。

2006年06月26日

「死の序列」キャスリーン・レイクス

 テンペ・ブレナンは米南部の大学で教える傍ら、カナダのモントリオールの法医学研究所で骨の鑑定に取り組んでいる。
 焼死と見られた死体の頭蓋骨に弾痕が発見され殺人事件が発覚。
 休暇で訪れた島でも惨殺された遺体が。二つの事件は一見無関係と思われたが、テンペの行く先々で次々と殺人事件が発生する。
 やがて、それらが関連を見せ……。
 くじけそうになりながら困難に立ち向かう主人公の描写に引き込まれた。

2006年06月25日

「MARI」八木啓代

 現実の事件を背景に、中米社会を共感を込めて描く国際政治サスペンス。
 パリに住むオペラ歌手・万梨にはロベールという婚約者があった。
 1989年12月、ジャーナリストの彼は米軍のパナマ進攻に遭遇し消息不明に。
 現地に飛んだ万梨は赤十字の係員やロベールの友人と真相を探る。
 だが、そこは米軍や新旧政府軍、麻薬組織、果ては日本大使館も係わる水面下の争奪戦の場だった。
 彼らが探しているものとは?
 婚約者の安否は?

2006年06月22日

「DZ(ディーズィー)」小笠原慧

 横溝正史賞受賞作。
 ワシントンの大学病院の医師グエンは霊長類の遺伝子操作に取り組んでいた。
 だが、彼の実験の真の目的を嗅ぎつけた助手の石橋が殺害される。
 一方、石橋の恋人・志度涼子は、関西の障害児施設で、重度の精神病の少女の治療に専念していた。
 その少女の染色体異常に関する論文に目をとめたグエンは遠路、涼子を訪ねる。
 果たして彼は何を企んでいるのか……。
 遺伝子の奥深い秘密をスリリングに描いている。

2006年06月21日

「明治おんな橋」平山寿三郎

 「それぞれの橋」を三人三様に懸命に渡り、維新の転変を生きた女たちを描いた時代小説。
 大奥から商家に嫁いだ美代は、両国橋を渡って浅草旅篭町の上州屋に嫁入り。
 美代にとって、両国橋は、大奥から商家、士族から平民、慶応から明治、江戸から東京へと渡る橋であり、まだ見ぬ男の妻になりゆく橋であった。
 また、遊女の境遇から大料亭の女将へのし上がったお倉、戦に狂わされた過去を捨てて生きる会津士族の娘の律。
 まさに人生という名の橋渡り。読後にしみじみとした切なさを感じさせてくれる。

2006年06月20日

「アメリカ南西部物語」高橋純

 アメリカ南西部に魅せられて、レンタカーで毎年、ひとり旅を続ける著者。
 古の先住民が描いた岩絵を見るために、荒野のハイウェイを飛ばし、スペイン文化の色濃いサンタフェの街角では、大地の香りに酔う――豊富な写真とともに、南西部の「物理的広さ」「文化的深さ」「劇的に変化する自然」の醍醐味を伝える体験記。
 何より、心を引きつける「磁場」とも言うべき場所で「自分を探す」旅の楽しさが感じられる一書だ。

2006年06月19日

「ヨーロッパのカフェ文化」クラウス・ティーレ=ドールマン

 文人・芸術家が集い、コーヒーを飲みながら議論したカフェ。
 そこを中心に前世紀末の“アール・ヌーボー”など欧州の文化運動は成立した。
 水の都ベニスの「フローリアン」、亡命者が集ったチューリヒの「グランド・カフェ・オデオン」などの名門カフェ。
 またブダペスト、ベルリン、パリのカフェ、イギリスのコーヒーハウスを探訪し、今も残る古き良きヨーロッパを味わうユニークな文化誌だ。

2006年06月18日

「わが夫、還らず」殿島三紀

 ベトナム戦争終結から31年。
 ベトナムやカンボジアの取材で命を落とした5人のジャーナリスト――酒井辰夫、高木祐二郎、柳沢武司、沢田教一、高野功。
 彼らの優れた記者魂を、現場調査を含めて子細に取材。
 また夫亡きあとの年月を、妻たちがどのような苦難に耐え、生きてきたかを描き出す。
 巻末には、同時代にベトナム戦争を取材し、今もフォト・ジャーナリストとして活躍する石川文洋氏の回想録が収録されている。
 戦争とは? 平和とは?……。戦争という極限状態の中で暴かれる人間性。
 今だからこそベトナム戦争から学べることがある。読み終わってそう感じた。

2006年06月17日

「M1(エム・ワン)」池井戸潤

 教え子の女子高生から、父親の会社が倒産寸前だと相談を受けた教師の辛島は、その救済のために、商社勤務時代の財務評価の知識を生かして、大口取引先との交渉に乗り出す。
 その企業は小さな町に君臨し、絶対的な支配力をテコに、独自の通貨を強引に使わせていた。
 交渉は不調に終わるが、辛島は会社の弱点を必死に探し、ついに巨大な悪の構図をあばき出す――。
 異色の経済・金融サスペンスの味わいは、元銀行マンの著者ならでは。

2006年06月16日

「美しい鹿の死」オタ・パヴェル

 森の動物が水を飲みに来る泉。
 チェコ・プラハの人々の素朴な生活も、ヒトラーの侵攻で変わっていく。
 強制収容所に入れられることが決まった息子のため、「おやじ」は銃殺覚悟で犬を連れ、鹿の密猟に出かける。
 ユダヤ人の父とチェコ人の母を持つ著者が、自身の体験をもとに、戦前・戦中のナチス支配から戦後の社会主義へと激しく変化していく世相と美しい自然の中での庶民の家族の温かい絆を描く短編小説集。

2006年06月15日

「暗夜」志水辰夫

 腹を刺され、港に沈められた弟。普通の貿易商のはずだったのに、不法持ち込みされた唐三彩の名品を母に託して隠し持っていた。
 それがトラブルの原因なのか――榊原は弟の足跡を追って中国各地を回り、盗掘団を捜し当てた。だが、弟を巻き込んだ修羅場は、榊原の予想をはるかに超え、大陸に発する恩讐に彩られたものだった。
 中国との深まる交流を背景に描かれたハードボイルド長編。
 巧みな人物造形に説得力が感じられます。

2006年06月14日

「好敵手」ブラッド・メルツァー

 仲のいい夫婦サラとジャレッド。
 苦労の末、検事補の職を得たサラは押し込み強盗事件の担当になった。 だが、単純そうな事件の背後に強大な力がうごめくのが見えてきた。
 一方、弁護士である夫のジャレッドに裕福そうな依頼人から仕事が入った。喜ぶ夫だったが、妻の担当事件だと判明。しかも負ければ妻を殺すと脅迫される。
 妻も同様の脅しを受け、二人はだまし合いを余儀なくされる窮地に……。
 互いの命を守るために相手に勝たなければならないというジレンマ。それを軽快なタッチで描いている。

2006年06月13日

「サイレント・ナイト」高野裕美子

 日頃から定期点検の不備を社長に訴えているベテラン整備士・古畑実だが、15年前の高校時代のワル仲間が相次いで殺害された。
 一方、華々しく新規参入した航空会社の機体から不発の爆弾が見つかった。古畑は心ならずも事件に巻き込まれていく。
 社長・鶴見の周辺に暴力団の影が浮かぶが、犯人像に決め手がないまま、今度は鶴見の息子が誘拐された。
 犯人は金品ではなく、ジャンボ機を集めて爆破するよう要求。時間切れ目前、連続殺人と鶴見との、長い時を隔てた意外な接点が……。
 ヒューマンタッチの臨場感あふれる犯罪サスペンス。じっくり推理の過程を楽しめる。

2006年06月12日

「海の隼」大島昌宏

 1600年3月、オランダ船リーフデ号が豊後の臼杵湾に漂着した。
 その生き残りの乗組員24人の中にいたイギリス人の航海長ウイリアム・アダムス。彼は砲撃手として関ケ原の合戦に参加し、徳川家康を勝利に導く。
 以後、相模国三浦郡に所領を得て三浦按針と名乗り、家康の旗本・外交顧問としてオランダやイギリスとの交易推進などで活躍。
 その数奇な運命を描いた歴史小説。イギリス人の目に映った家康像が興味深い。

大分県中部を震源とする地震

今朝5時1分ごろに大分県中部を震源とする地震があり、九州のほぼ全域と中国・四国地方で、最大震度5弱が観測されました。
asahi.com:大分で地震 佐伯、呉、今治など震度5弱
 12日午前5時1分ごろ、大分県中部を震源とする強い地震があり、大分県佐伯市や広島県呉市、愛媛県今治市などで震度5弱を観測した。九州と中国、四国地方の広い範囲で震度4~1の揺れがあった。

 この地震で、広島市や松山市などで数人がけがをした。広島市消防局によると、広島市中区の自宅にいた男子中学生が、落ちてきた物が額に当たり、救急車で病院に搬送された。軽傷という。

 JR西日本によると、山陽新幹線は、新尾道(広島県尾道市)―徳山駅(山口県周南市)で始発から徐行運転をしている。山陽線、芸備線、呉線などでは、始発から安全確認のため全線で運転を見合わせている。

    ◇

 主な各地の震度は次の通り。

 【震度5弱】大分県佐伯市、広島県呉市、愛媛県今治市、八幡浜市、西予市、伊方町

 【震度4】大分市、宮崎市、山口県萩市、広島市、岡山市、松山市など

2006年06月11日

「地下墓地」ピーター・ラヴゼイ

 改装工事中のビルの床から20年前の手首の骨が発見された。しかもそこは、かつて小説『フランケンシュタイン』が執筆された場所であることが判明し、マスコミは騒然とする。
 さらに、ゆかりの品を所蔵していた骨董商が殺害されて、事件はいよいよ錯綜していく。
 ダイヤモンド警視は新任副署長の圧力を受け、同僚刑事との縄張り争いの確執をぼやきながら、鈍重に見えて鋭い追求を重ね、意外な犯人をあぶりだす。
 ゴシック・ホラー風味もきかせながら、謎を解いていく過程も読ませる。

2006年06月10日

「国際結婚イスラームの花嫁」泉久恵

 世界の三大宗教と言われる中で、日本人にとってイスラム教への理解が最も薄いのではないか。  本書は、アフガニスタンに嫁いだ日本人女性の数奇な人生をたどるドキュメンタリー。
 異なる衣食住へのとまどいや、一夫多妻制ゆえの「もう一人の妻」との確執。更にソ連のアフガン介入が、夫婦を十九年間、遠ざけることになる。
 見えにくかったイスラム社会を、その中で暮らす女性の視点から描いている。
 命がけの国外脱出談では、難民の抱える苦悩も浮き彫りに。
 その中でも、京都出身の女性の前向きな性格と、はんなりした言葉遣いが、重い内容をも明るくしていると思う。

2006年06月09日

「かくれ里紀行」早乙女貢

 例えば岡山県新見市。中国山地の山間静かな町だが、なかでも坂本の地は、明智光秀の残党が近江坂本城から落ち延びたところと言われている。
 ここに立った著者は、彼らの逃走経路を推理し、乱世の敗戦の武者たちの悲惨な日々に思いをはせる。
 また役ノ小角や源頼朝、平家の落人等、幾多の流人を迎えた伊豆、幕末に官軍と会津軍が戦った福島県の大内、隠れキリシタンの島・生月島など13の地を訪ね、歴史の残照に物語を紡いでいく。
 かくれ里というだけで、そこはかとないもの悲しさを感じる。
 山がちな島国である日本の原風景には、どこかかくれ里のイメージが伴うのかもしれない。

2006年06月08日

「北海道人 松浦武四郎」佐江衆一

 知らないことというのは、本当に多いもの。
 本書で紹介されている松浦武四郎とは、幕末の激動期に、北方のロシアの脅威に目覚めた探検家。志士であり、民俗学者・地理学者・植物学者でもある。
 そして「北海道」の名付け親でもあります。
 この時代に一人、松前藩の苛政によるアイヌの惨状に心痛し「ロシアの南下をこれでは阻止できぬ」と喝破。アイヌの生活や人口の変化、彼らの窮状や産物の調査などをするなか、「アイヌは和人も及ばぬ高徳の民」と、敬愛の念で接した。
 波瀾の生涯を活写した歴史小説として、おすすめの一書。

2006年06月07日

「パナマの仕立屋」ジョン・ル・カレ

 舞台は返還間近のパナマ運河。
 利権の行方を巡り、各国の思惑が交錯する中、富豪や高官相手の仕立屋を営んでいるペンデルが“偽りの経歴を暴く”と脅され、英国のにわかスパイになってしまう。
 監督官の追及に応じたいばかりに、ペンデルの嘘はふくらみ、遂には反政府勢力が蜂起するとのデマを創作してしまう。が、英国側がこれを真に受け、大々的な支援態勢に入ってしまい、事態は意想外の方向へ――。
 揺れる英国大使館の様子に失笑しながら読み終えた。
 スパイ小説と言えば、有能な登場人物が難事件を解決という形だったが、本書は、無能な人間が引き起こすコントロール不能な大事件を描く。
 ある意味、冷戦後のスパイ小説の一つの道を示したと言えるかも知れない。

2006年06月06日

「盗まれた夢」アレクサンドラ・マリーニナ

 モスクワ効外で死体が見つかった。商社の女性秘書だった。
 市警の内勤から現場へ駆り出されたアナスタシアは得意の犯罪分析能力(プロファイリング)を生かし、孤児だった被害者の生い立ちに手がかりを見いだす。が、課内に犯罪組織への内通者がいるらしく、捜査は様々に妨害を受け、彼女が脅迫の対象に……。
 捜査機関のなかに、犯罪組織とのつながりをもった職員がいるのは、ロシアではとっくに周知の事実らしい。
 そういう意味でも、冷戦後の転換点に立つロシア社会の状況を、臨場感豊かに描いた警察ミステリーだと思う。
 ちなみに作者であるアレクサンドラ・マリーニナは、ロシア初の女流ミステリー作家……とのこと。

「吃逆」森福都

 時は中国・宋の時代。
 陸文挙は科挙に合格したが、下位合格のため職がない。そこに周季和なる男が現れ、探偵として雇いたいと言う。陸には吃逆(しゃっくり)の癖があり、しかも、しゃっくりするたびに奇妙な光景や人に見えないものが見えたり、奇想が閃いたりする。
 この不思議な能力を駆使して開封の都で起こる難事件に挑む。
 ミステリーというか、ファンタジーというか、ともかくユーモアあふれた展開の中に、そこはかとない暗さを感じさせる不思議な作品。

2006年06月05日

「スコーピオンズ・ゲート」リチャード・A・クラーク

 サウジに革命政権が誕生し、指導部内では核武装論が台頭。石油利権を見返りに中国から核弾頭の提供を受けようというのだ。
 折しもイラクはサウジの仕業を装いテロ活動を展開。中東一帯に緊張が高まっていく。
 米情報機関高官のマッキンタイアは革命政権の穏健派と結び、武力衝突回避に秘策を巡らすのだが……。
 米政府元高官、それもテロ対策の元最高責任者によるポリティカル・フィクションは最後まで刺激にあふれている。
 どこまで真実かは分からないが、中東問題、テロ問題などへの示唆に富んだ一書であることは間違いない。

「パズル・パレス」ダン・ブラウン

 映画化の影響で、様々紛糾している「ダ・ヴィンチ・コード」の作者ダン・ブラウンのデビュー作。
 アメリカ政府の中枢で、世界中の通信を傍受し、暗号を解読する極秘システムが稼働していた。だが、そのシステムにも解けない暗号を開発したという男が出現し、殺害される。
 暗号解読のキーワードを巡って政府代理人と謎の暗殺者との追跡劇が始まった。
 10年前にこの内容、時代を見る目は確かということか。二転三転の舞台回し、息をのむ疾走感は流石だ。

2006年06月04日

「チーム・バチスタの栄光」海堂尊

 東城大学病院で手術成功率100%を誇ってきた“チーム・バチスタ”。心臓移植の代替の「バチスタ手術」を行うチームだ。
 しかし3例の術中死が続き、病院長は若手講師に原因解明を託す。ミスか、殺人か。謎は深まる。
 そこへ破天荒な役人が厚生労働省から乗り込んできた。二人三脚の探偵は病院を混乱に巻き込みながらも、見事に謎を解く。
 面白い。現役医師の手になるだけに、医療現場のリアリティにあふれている。それだけでワクワクしてくる。
 単なるミステリーとしては、奇抜さがない感じだが、田口と白鳥・二人のキャラクターが発する魅力は、それを補ってあまりある。

「天国の扉」沢木冬吾

 名雲修作は、自宅が放火されて妹が焼死したことに責任を感じ、10年来、流浪の旅に出る。だが突然拉致され、監禁中に、ある殺人事件の犯人に仕立て上げられてしまう。
 脱出したものの、指名手配の身の上となり、自首すれば弟を殺すとの脅迫が。蟻地獄のような状況に立ち向かう修作だが、二重三重のワナが巧妙に仕掛けられていた。
 サスペンス風味だけど、火事で崩壊した家族の絆の再生のドラマとして読むと味わい深いものがある。
 1  |  2  |  3  |  4  | All pages
プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
カテゴリー
最近のエントリー
RSS新着情報
Amazonサーチ
訪問者数

読書ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
ページビューランキング
検索
Google
最近のコメント
最近のトラックバック
アーカイブ
リンク集

ブログアクセサリー
あわせて読みたい
SEO Stats powered by SEO-Stats.com
スカウター : つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー
Googlebot last access powered by Linkfind.org
テクノラティお気に入りに追加する
 RSSリーダーで購読する
[フィードとは]
はてなRSSへ追加
Livedoorへ追加
My Yahooへ追加
Google Readerへ追加

track feed track feed

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログは、次のライセンスで保護されています。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.

Powered by Movable Type 3.2-ja-2