国境の街、根室。暴力団員となった裕司が東京から戻ってきた。
幼なじみの家電商・幸司に、組の金2億円を持ち逃げした男・敬二を一緒に捜せという。
敬二はロシア漁船で出国しようとしているらしい。
幸司が心当たりを探りだすと、地元の裏社会の勢力が一斉に動き始めた。
政治も経済も国境ゆえのきしみを内包した街に、息つぐ間もない追撃戦が展開していく。
欺瞞と裏切りを真正面から見据えた、馳星周らしい骨太の長編サスペンス。だが、いろいろと目につくところがあるのも確か。
「馳星周らしさ」が好きな人なら、それを割り引いても充分に楽しめるはず。