つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

2006年07月に書いたページ。日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

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2006年07月15日

「地獄の静かな夜」A・J・クィネル

 「愛」がモチーフになった冒険小説短編集。
 ボスニア内戦後の国際法廷で、ペロは戦中に自分を拷問した男を人違いと証言した。
 やがて、男が微罪で短い刑期を終えて帰郷すると、ペロは妹と結婚していた。
 ペロは赦すと言うのだが、胸には秘めた策略が……。「想像力の広さを示したい」と、著者が自負するように、時代背景も筋立ても多彩な、表題作他6編が収録されている。

2006年07月14日

「シーズ ザ デイ」鈴木光司

 ヨットが南太平洋に沈んで16年。
 同乗していた恋人とともに助かった船越は、彼女が後にひそかに自分の娘を出産していたことを知る。
 母親に反発する娘は船越を頼るようになり、やがて、沈んだヨットの位置が判明した。
 沈没は本当に事故だったのか――抱き続けた疑問の回答を求めて、船越は娘に操船技術を教えて共に旅立つ。
 長編ミステリーではあるが、謎が明かされた時、爽快な青春小説だったと知れる。

2006年07月13日

「ダッシュ」内山安雄

 ダムに沈んだ故郷へ16年ぶりに帰省してみると、工事のため水を抜いた湖底から次々と白骨死体が。
 隆二の脳裏に少年時代の連続殺人の記憶が蘇る。
 アジア人労務者と村民の対立、ダム建設の利権争い……北海道の寒村の、激変しつつある環境で、むき出しになっていく人々の欲望がせめぎあい、闇の中へ消えていった。
 そして隆二も取り返しのつかない過ちを犯していたのだった。
 14歳の視点で描いた長編サスペンス。

2006年07月12日

「ピト・ペレスの自堕落な人生」ホセ・ルベン・ロメロ

 ボロ靴にボサボサ頭、花冠をかぶった主人公ペレスはメキシコの風来坊。
 教会侍者・薬剤師助手などをしながら各地を放浪、でたらめ説教・インチキ調剤、殺し以外なら何でもし、もらい酒のため自分の経験を面白おかしく語る。
 知り合いに大統領がいたり、メキシコ独立戦争に巻き込まれたりするが、ピカレスク小説(悪漢小説)の伝統通り、権威や権力を笑い飛ばす。
 1930年代のスペイン語圏ベストセラー小説。

2006年07月11日

「雪月夜」馳星周

 国境の街、根室。暴力団員となった裕司が東京から戻ってきた。
 幼なじみの家電商・幸司に、組の金2億円を持ち逃げした男・敬二を一緒に捜せという。
 敬二はロシア漁船で出国しようとしているらしい。
 幸司が心当たりを探りだすと、地元の裏社会の勢力が一斉に動き始めた。
 政治も経済も国境ゆえのきしみを内包した街に、息つぐ間もない追撃戦が展開していく。
 欺瞞と裏切りを真正面から見据えた、馳星周らしい骨太の長編サスペンス。だが、いろいろと目につくところがあるのも確か。
 「馳星周らしさ」が好きな人なら、それを割り引いても充分に楽しめるはず。

2006年07月10日

「インマイハンズ――ユダヤ人を救ったポーランドの少女」イレーネ・グート・オプダイク

 看護学生・イレーネ、17歳。
 その幸福な人生は1939年、ドイツ軍のポーランド侵攻で激変する。
 長い逃亡の果て祖国に帰った彼女は酷い虐殺に戦慄しつつも、遂に独軍将校の愛人となる道を選ぶ。生きるために。
 そして数々の狂気の嵐をかいくぐり、十数人のユダヤ人の命を救う。
 本書はその体験の口述を綴ったもので、その動機は、いまだに跋扈する“ホロコースト否定の亡霊”と戦うためだという。
 生きるということはきれい事だけではないということ。しかし、その中でも何か人のためになることを行いたい。
 様々なことを考えさせられる一書。

2006年07月07日

「聖の青春」大崎善生

 難病と闘いつつ、夢の実現に向かって壮絶に生き、29歳で亡くなった若き棋士・村山聖(むらやま・さとし)の生き方を描く。著者は将棋雑誌の元編集長。
 幼くしてネフローゼを患った村山聖は、病院のベッド生活の中で将棋と出会い、「名人」になる夢を描き努力の日々を。「A級八段」を獲得する。
 普通、人は死の影にたじろぐが、村山聖はそれを闘いへの強烈なバネへと変え、将棋一途に打ち込んでいく。
 陰で支えた肉親、師匠、友人の愛の姿も感動的だ。
 将棋を知らない人にも一読を勧めたい。

2006年07月06日

「サンチャゴに降る雨」大石直紀

 1973年、チリに独裁政権が誕生。
 ビオレタは10歳の少女、彼女の初恋の人ガルセスは14歳だった。
 米国へ脱出したビオレタは母国解放を主張する映画女優に育ち、85年、独裁者打倒を目指す偽装テレビ取材陣と共に帰国した。
 だが、まさに暗殺決行の瞬間、ガルセスが現れた。大きく変貌を遂げて……。
 89年の民主化回復、更に2001年へと物語は展開する。
 2人を軸に、チリ現代史の陰影を照射する迫真の歴史サスペンスだ。
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プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
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