つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

2006年07月に書いたページ。日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

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2006年07月05日

「夜に沈む道」ジョン・バーナム・シュワルツ

 米国北部の田舎町を舞台とした長編スリラー。
 寂れた小道で十歳の少年がひき逃げされ死んでしまった。
 わきへ寄れと注意できなかった父親、息子を亡くした喪失感に沈む母親、そして逃亡しつつも罪の意識におののく加害者――心に開いた傷口が三者三様に広がっていく。
 父親が加害者を突き止めた時、一気に避け難い破局へと押し流されていく。
 平凡な日常の脆さを精緻な筆遣いで説得力満点に描き出した、完成度の高い作品。

2006年07月04日

「雨の鎮魂歌」沢村鉄

 生徒会長の一村和人の刺殺体が旧校舎で発見され、立て続けに校長室放火など異常な事件が起こる。
 田舎町の中学校に動機や犯人をめぐる憶測が走る。生徒会の副会長・古館が何かを隠しているようだ。
 彼らを仲間だと思っていた徹也は無力感にいらだちながらも、仲間との心の絆を取り戻そうと、事件に挑む。
 思春期の心の揺らぎや思いやりが、謎解きの糸口を遠ざけてしまう、巧妙な仕掛けを組み込んだ異色の長編ミステリー。

2006年07月02日

「慚愧の淵に眠れ」松本賢吾

 元警官で元遊び人、そして今は墓地の納骨作業員の原島恭介。
 そんな彼を昔の仲間が突然訪ねてきた。
 用件も話さず帰った翌々日、彼は溺死体で発見される。
 事件の匂いをかいだ原島は周辺を洗いはじめるが、なぜか警察はかたくなに自殺と断定しようとする。
 警察官の経歴を持つ著者ならではの、ユニークな視点から警察の腐敗をつく、屈折した中にも筋の通った正義漢を生み出した、密度の高い長編ハードボイルド小説だ。

2006年07月01日

「鬼花葬」東田真由子

 人間の邪念・邪気を食らい、人間の存在を脅かす「鬼」を、数百年間にわたって封じてきた真城家。
 その真城家の娘・玉綾が、王鬼の息子を愛してしまったことから起こる愛憎渦巻く復讐劇を、輪廻転生をからめて描いた怪奇幻想小説。
 因縁づけられた真城家にまつわる人々の魂の救済を通して「生と死」を見つめ、加えて、「愛」の切なさと「命」の浄化をうたいあげる。
 みずみずしい感性にあふれる作品だ。
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プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
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