つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

「気ままに書評・ブックレビュー」のカテゴリーページ。
日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

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2006年07月21日

「ハリエット・ジェイコブズ自伝」ハリエット・ジェイコブズ

 米ノースカロライナ州生まれの女性が、その半生を記した自伝。
 奴隷の子に生まれ、農場主の子とともに教育を受けた彼女は、成長してフリント医師に譲られる。
 待っていた性的虐待。逃亡――約7年の屋根裏生活、また北部自由州や英国への脱出行。
 執拗な追跡の果てに、若い弁護士に買い取られる形で「自由」を獲得する。
 その人生の軌跡そのものが“人種とジェンダー、性”について問いかけてくる。

2006年07月20日

「バッハの音符たち」池辺晋一郎

 TVでも軽妙な語り口の著者が、バッハの音符を検証、作曲技術を語る。
 《ゴルトベルク変奏曲》ではテーマと30変奏の骨組みを解明。
 「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」を食卓の料理になぞらえて分析。
 「平均律クラヴィーア曲集」では現代の12音技法に通じる曲の展開を論じ……と“音楽の父”を縦横に語る。
 また「マタイ受難曲」では作曲者の心理に言及する等、クラシック愛好家ならずとも楽しめる。

2006年07月19日

「涙」乃南アサ

 昭和39年秋、東京オリンピックを目前に、婚約者の刑事が失踪した。
 彼の同僚の娘が暴行・殺害された現場に居合わせた痕跡を残して……。
 諦めきれない萄子は、彼を見かけたとの噂を聞いては追い求める。
 一方、恨みを抱く元同僚も彼を追う。先に見つけるのはどちらなのか。
 2年にわたる旅の果てに到達した一つの結論とは――。
 高度成長期の社会を背景に、衝撃的な真相解明まで一気に読ませる。

2006年07月18日

「話に花を咲かせましょう」神野秀雄監修

 学生たちが老人ホームで高齢者にインタビュー。
 そのやりとり15話を収録。
 例えば福田操さん(95)。士族の娘に生まれ、教師になる。
 当時としては珍しい恋愛結婚。名古屋で空襲に遭う。
 「今は何でも何やっとる時も楽しいです」
 また服部清さん(65)。
 「いつもあそこに座っている百歳のおばあちゃん、あの方は私の親友です」
 どの人にも不思議と心に響く言葉がある。年輪に裏打ちされた深みのような。

2006年07月17日

「パラサイト・レックス」カール・ジンマー

 原題は“寄生虫王”。
 最近は、免疫系で寄生虫の存在が適度な刺激になるとの研究成果も出ているらしい。
 寄生生物はヒトの進化のサイクルに深くかかわったと考えられている。
 とはいえマラリアで今も12秒に1人が死に、象皮病のフィラリア糸状虫に1億2000万人が苦しむ。
 寄生虫の“相手を利用して生きる”戦略を考察する先端の生物学リポート。

2006年07月16日

「天国への階段」白川道

 企業グループを率いる青年実業家・柏木圭一は財力を武器に、胸に秘めた復讐劇を着々と実行していた。
 だが達成を目前に、老刑事の執念から、殺人事件の捜査線上に柏木が浮上する。
 次第に解明される彼の半生。
 26年の時を隔てて明かされる真実とは?
 錯誤の故に、悲劇に悲劇を積み重ねてしまう主人公たち。
 金に翻弄される悲痛、人を思う哀切の織り成す異色作。

2006年07月15日

「地獄の静かな夜」A・J・クィネル

 「愛」がモチーフになった冒険小説短編集。
 ボスニア内戦後の国際法廷で、ペロは戦中に自分を拷問した男を人違いと証言した。
 やがて、男が微罪で短い刑期を終えて帰郷すると、ペロは妹と結婚していた。
 ペロは赦すと言うのだが、胸には秘めた策略が……。「想像力の広さを示したい」と、著者が自負するように、時代背景も筋立ても多彩な、表題作他6編が収録されている。

2006年07月14日

「シーズ ザ デイ」鈴木光司

 ヨットが南太平洋に沈んで16年。
 同乗していた恋人とともに助かった船越は、彼女が後にひそかに自分の娘を出産していたことを知る。
 母親に反発する娘は船越を頼るようになり、やがて、沈んだヨットの位置が判明した。
 沈没は本当に事故だったのか――抱き続けた疑問の回答を求めて、船越は娘に操船技術を教えて共に旅立つ。
 長編ミステリーではあるが、謎が明かされた時、爽快な青春小説だったと知れる。
プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
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