つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

「気ままに書評・ブックレビュー」のカテゴリーページ。
日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

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2006年12月18日

「デッドライン」建倉圭介

 日系二世であるミノル・タガワは、ロスアラモスで原爆が開発中であり、しかも日本が標的になっていると知る。そして原爆投下前に日本政府に敗戦を受諾させようと、日本への密航を図る。
 一方、機密漏洩を察知した米軍は、ミノルを取り押さえようと追跡を開始。
 アラスカ、千島列島と、手に汗握る逃避行が続く。
 ミノルの熱意は果たして実を結ぶのか……。
 ストーリーの疾走感が心地よい。

2006年11月04日

「私が死ぬと茶は廃れる」三鬼英介

 副題に「知られざる粋人・金津滋の生涯」とある通り、著者・三鬼英介はお茶に関する本を書くための取材で出雲に赴き、金津滋という人物を知る。
 小規模な茶の研究会「紅雪会」の中心的存在だ。
 博覧強記。四、五千の茶道具を所有、書画、料理をはじめ、何をやらせても玄人裸足。制度化した茶道とは対極にある自由な茶を体現している。
 金津へのインタビューを含め、茶を探究する著者に同行している気分にさせてくれる文章が魅力的。
 ちなみにタイトルは、千利休晩年の言葉「(私の死後)十年ヲ過ギズ、茶ノ本道廃ルベシ」からとられている。

2006年10月01日

「月が100回沈めば」式田ティエン

 バイト仲間のアツシが失踪、耕佐は中学生連続誘拐事件との関連を疑う。
 アツシは高一だが、小柄なので中学生と間違われた可能性もあるからだ。
 同じバイト先の女子高生・弓と、職場のある渋谷の若者に聞き歩いて彼の実家を探し当てたが、家族は失踪を否定する。
 耕佐たちは、ならばとバイト先の会社に秘密がないかと潜入する。
 事件を通し成長していく耕佐の姿がたくましい。
 ミステリー仕立ての青春小説だ。

2006年09月28日

「さくら草」永井するみ

 ラブホテルの駐車場で女子中学生の死体が発見される。
 やがて多摩川の河川敷で、やはり女子中学生が死体で見つかる。
 被害者に共通していたのは、人気の高級ジュニアブランドの衣服を身に着けていたこと。
 ブランドイメージを守ろうと奮闘する女性幹部と、ファッションに詳しいことから捜査本部に抜擢された女性刑事。
 この2人の視点で展開する物語は、意表をつく結末を迎える。

2006年09月26日

「絵で見て楽しむ! 江戸っ子語のイキ・イナセ」笹間良彦

 「五つ屋」って何?
 質屋では聞こえが悪いので「七つ屋」となり、次に「一六屋」また「五二屋」に、更に「二」を略して「五つ屋」となったという。
 「六日知らず」とは?  日数を指折り数えると五日で手を握った形になり、六日以降は指を開くところから、握った物は離さぬケチへの陰口。
 ほかに「半畳を入れる」「白鼠」「鼬の道」など、江戸期から使われた言葉を、イラスト入りで解説してくれている。
 楽しくて、そしてちょっとためになる一書。

2006年09月17日

「歴史探訪を愉しむ」童門冬二

 北海道・苫小牧市の郊外に「八王子千人隊の墓地」がある。
 八王子は中山道から江戸への最初の入り口、徳川幕府にとって、戦略上、重要な地点であった。
 江戸守護のために構成された千人隊。
 寛政期、松平定信は北方の守りのため、その一部を北海道に移住させた。
 彼らは開墾を始めたが、厳しい気候の中で次々と餓死していった。
 北海道から沖縄まで、24の由縁の地に歴史と人を訪ねた紀行エッセー。

2006年09月15日

「中国『野人』騒動記」中根研一

 中国湖北省の原生林地帯・神農架に生息するといわれる「野人」。
 未確認生物だが、驚くことに、野人と人間のハーフ「雑交野人」が存在するというニュースが1997年、中国全土を駆けめぐった。
 著者は、原生林での野人探索、関係者へのインタビューを敢行。
 一連の野人騒動を、ドキュメント・タッチで再現していく。
 謎とロマンに満ちたノンフィクションだ。

2006年09月13日

「絆」河野順子

 北極点から、生まれ故郷の愛媛まで、全行程1万5000キロを歩き抜く――壮大な計画の途次、冒険家・河野兵市は、ついに帰らぬ人となった。
 本書は、その妻による回想記。
 金を貯めては、高峰・秘境に挑み続けた夫。
 その心を理解しつつ、無事を祈り、束の間の団らんは努めて自然体で……。妻として生きた14年、それは“日々覚悟”の歳月だった。
 家族の関係が希薄な昨今、河野さん夫妻と子らの絆は、鮮烈なまでに胸を打つ。
プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
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