つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

「気ままに書評・ブックレビュー」のカテゴリーページ。
日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

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2007年09月01日

「ハゲタカ」真山仁

 NHKでドラマ化され、再放送までされています。
 かく言う自分自身も、ドラマを観てからこの原作「ハゲタカ」を手に取った1人。
 ただ、最初に言っておくべきでしょう。ドラマと原作は、まったく違う展開をたどります。
 ドラマはドラマで引き込むものがありました。民放には作れないドラマだなと。
 登場人物については、実力ある俳優陣が演じただけに、個々については淡々と描かれる原作より魅力的だったかと思います。
 現にこうして原作を手に取らせることに成功しているわけで、それはそれで大したことです。
 それでもやっぱり、原作に沿ったドラマも観てみたい。

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2007年08月27日

「UNBOWEDへこたれない~ワンガリ・マータイ自伝」ワンガリ・マータイ

 まさに「へこたれない女性」――このワンガリ・マータイさんの激動の半世紀を読んで、不屈の精神をもっていることを実感した。
 ケニアで部族差別と女性差別に遭い、就職を拒絶される。
 政治家だった夫との離婚裁判では、裁判官を批判した罪で投獄された。
 木を植えただけで反政府運動家扱いされ、暴漢に殴られ流血。
 選挙に立候補すれば、デマと妨害で落選。職も追われ、3人の子供を抱えて路頭に迷うことに。
 それでも彼女はへこたれなかった。
 「忍耐強く、ねばり強く、そして全力で、絶えず前進する姿勢こそが民主主義」だという確信に貫かれた人生。
 その確信は、アメリカ留学中に学んだ公民権運動にもとづいているという。
 さらなる原点は、彼女の「母」の存在にさかのぼる。
 価値観を娘に押し付けることは一切せず、穏やかに娘を見守った「母」。
 「もったいない」という言葉に価値を見いだしたマータイさんの精神的骨格には、飾らない実直な「母の心」が貫いているのだろう。
 超人的に思える彼女だが、その心の核の部分は、私たち凡人にも、十分理解し共有できる。
 その共感から、平和も環境も、そして社会も改めていけると信じたい。
 本書「UNBOWEDへこたれない~ワンガリ・マータイ自伝」は、そう思わせてくれる一書だ。

2007年07月12日

「魔性」渡辺容子

 分類はミステリー。しかし、本書「魔性」は成長の物語だと思う。
 仕事を辞め、引きこもり状態になった珠世。
 偶然、高校生のありさと出会い、川崎市のプロ・サッカーチームのサポーターの仲間入りをした。
 現実社会との、たった一つのつながりが、サポーターとしての活動だった。
 だが、応援を約束していた試合当日に、ありさが殺されてしまう。
 しかも、ありさの携帯から仲間たちに、嫌がらせのメールが届く。
 犯人捜しを始めた珠世は、サッカーを接点とした仲間たちに、意外な裏面があることを知っていく。
 表と裏の葛藤の中で、人は生きている――そのことを実感し、自らの生活を顧みる珠世。
 事件の進展とともに、次第に心を鍛えられ、成長していく姿に励まされる。

2007年06月28日

「夏雲あがれ」宮本昌孝

 「剣は、抜かぬが最善、抜いても仕掛けぬが次善、このほかに善はなし」――長沼正兵衛が筧新吾を諭すこの言葉が、何故か心に残っている。
 前回紹介した「藩校早春賦」でも述べた通り、NHK時代劇「夏雲あがれ」に惹かれて手に取ったのだが、青春活劇の中に、いぶし銀の輝きを感じたのがこの言葉だったのか。
 周りが変化していく状況で、自分一人が大人になれないと悩んでいた新吾だから、この場面の後も、真っ直ぐな性格のまま、悩みながらも刀を振る。
 剣を抜かずに最善の道を歩むには、とてつもない人間としての器と力が必要なのだ。
 その力をつけ、器を広げるために、新吾たちは青年期を全力疾走で駆け続けている。そんな感じがする。
 志保の「関屋の帯」のエピソードも、女心が彩りを添えて、いっそ爽やかだ。

2007年06月26日

「藩校早春賦」宮本昌孝

 NHKで現在放映されている時代劇「夏雲あがれ」が、思いの外よい出来で、原作を読みたいと探していました。
 直接の原作は同名の著作ですが、その前作がこの「藩校早春賦」です。
 大きくは話の流れもあって時系列になっていますが、各章それぞれで読み切りとも感じます。
 藩校の剣術所教授方を決める御前仕合を描いた「学びて時にこれを習う」をはじめ、続刊の「夏雲あがれ」で触れられるエピソードも多く、先に本書を一読しておくと、より楽しめます。
 主人公・筧新吾の性格そのままに、ストーリーも、さわやかに青春の旅路を駆け抜けていきます。

2007年05月27日

「もったいない」プラネット・リンク編

 本書「もったいない」の編者となっている「プラネット・リンク」は、ケニアの環境副大臣マータイさんに共鳴する有志の集まり。
 冒頭に“もったいない”の精神と、3R(リデュース=削減、リユース=再使用、リサイクル=再利用)を訴えるマータイさんの言葉が掲載されている。
 それに続けて、包装ゴミ、食料廃棄、家電機器の廃棄、水のムダ使い、軍事費など19の例について節約を促している。
 約80年前にハワイに渡った日本人移民による「着物」の再利用が、アロハシャツのルーツであるなど、ちょっと楽しいマメ知識も。
 対訳英文も付いている。

2007年04月20日

「名もなき毒」宮部みゆき

 社内報編集者の杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵を訪れる。
 そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くした女子高生。母親が容疑者扱いされているという。
 杉村は嫌疑を晴らす手伝いを買って出るが、真相がつかめないまま、自らの家族を不快な事件が見舞う。
 この「名もなき毒」は、「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2007年本屋大賞」で第10位に入賞した、人の心に潜む「毒」が生み出す恐怖を描く長編ミステリー。

2007年04月18日

「水上のパッサカリア」海野碧

 自身の過去を秘めて山中の湖畔に暮らす大道寺勉の前に、昔の稼業「始末屋」の仲間が現れる。
 半年前に事故死した同棲相手・片岡菜津は、実は謀殺されたのだというのだ。
 思いもよらぬ事実を知らされ、勉は最後の“始末”に加わる。
 だがそこには巧妙なカラクリがあった……。
 本書「水上のパッサカリア」は、緻密な描写力が評価され、第10回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞したハードボイルド長編。
プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
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