モスクワ効外で死体が見つかった。商社の女性秘書だった。
市警の内勤から現場へ駆り出されたアナスタシアは得意の犯罪分析能力(プロファイリング)を生かし、孤児だった被害者の生い立ちに手がかりを見いだす。が、課内に犯罪組織への内通者がいるらしく、捜査は様々に妨害を受け、彼女が脅迫の対象に……。
捜査機関のなかに、犯罪組織とのつながりをもった職員がいるのは、ロシアではとっくに周知の事実らしい。
そういう意味でも、冷戦後の転換点に立つロシア社会の状況を、臨場感豊かに描いた警察ミステリーだと思う。
ちなみに作者であるアレクサンドラ・マリーニナは、ロシア初の女流ミステリー作家……とのこと。