つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

「気ままに書評・ブックレビュー」のカテゴリーページ。
日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

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2006年06月06日

「盗まれた夢」アレクサンドラ・マリーニナ

 モスクワ効外で死体が見つかった。商社の女性秘書だった。
 市警の内勤から現場へ駆り出されたアナスタシアは得意の犯罪分析能力(プロファイリング)を生かし、孤児だった被害者の生い立ちに手がかりを見いだす。が、課内に犯罪組織への内通者がいるらしく、捜査は様々に妨害を受け、彼女が脅迫の対象に……。
 捜査機関のなかに、犯罪組織とのつながりをもった職員がいるのは、ロシアではとっくに周知の事実らしい。
 そういう意味でも、冷戦後の転換点に立つロシア社会の状況を、臨場感豊かに描いた警察ミステリーだと思う。
 ちなみに作者であるアレクサンドラ・マリーニナは、ロシア初の女流ミステリー作家……とのこと。

「吃逆」森福都

 時は中国・宋の時代。
 陸文挙は科挙に合格したが、下位合格のため職がない。そこに周季和なる男が現れ、探偵として雇いたいと言う。陸には吃逆(しゃっくり)の癖があり、しかも、しゃっくりするたびに奇妙な光景や人に見えないものが見えたり、奇想が閃いたりする。
 この不思議な能力を駆使して開封の都で起こる難事件に挑む。
 ミステリーというか、ファンタジーというか、ともかくユーモアあふれた展開の中に、そこはかとない暗さを感じさせる不思議な作品。

2006年06月05日

「スコーピオンズ・ゲート」リチャード・A・クラーク

 サウジに革命政権が誕生し、指導部内では核武装論が台頭。石油利権を見返りに中国から核弾頭の提供を受けようというのだ。
 折しもイラクはサウジの仕業を装いテロ活動を展開。中東一帯に緊張が高まっていく。
 米情報機関高官のマッキンタイアは革命政権の穏健派と結び、武力衝突回避に秘策を巡らすのだが……。
 米政府元高官、それもテロ対策の元最高責任者によるポリティカル・フィクションは最後まで刺激にあふれている。
 どこまで真実かは分からないが、中東問題、テロ問題などへの示唆に富んだ一書であることは間違いない。

「パズル・パレス」ダン・ブラウン

 映画化の影響で、様々紛糾している「ダ・ヴィンチ・コード」の作者ダン・ブラウンのデビュー作。
 アメリカ政府の中枢で、世界中の通信を傍受し、暗号を解読する極秘システムが稼働していた。だが、そのシステムにも解けない暗号を開発したという男が出現し、殺害される。
 暗号解読のキーワードを巡って政府代理人と謎の暗殺者との追跡劇が始まった。
 10年前にこの内容、時代を見る目は確かということか。二転三転の舞台回し、息をのむ疾走感は流石だ。

2006年06月04日

「チーム・バチスタの栄光」海堂尊

 東城大学病院で手術成功率100%を誇ってきた“チーム・バチスタ”。心臓移植の代替の「バチスタ手術」を行うチームだ。
 しかし3例の術中死が続き、病院長は若手講師に原因解明を託す。ミスか、殺人か。謎は深まる。
 そこへ破天荒な役人が厚生労働省から乗り込んできた。二人三脚の探偵は病院を混乱に巻き込みながらも、見事に謎を解く。
 面白い。現役医師の手になるだけに、医療現場のリアリティにあふれている。それだけでワクワクしてくる。
 単なるミステリーとしては、奇抜さがない感じだが、田口と白鳥・二人のキャラクターが発する魅力は、それを補ってあまりある。

「天国の扉」沢木冬吾

 名雲修作は、自宅が放火されて妹が焼死したことに責任を感じ、10年来、流浪の旅に出る。だが突然拉致され、監禁中に、ある殺人事件の犯人に仕立て上げられてしまう。
 脱出したものの、指名手配の身の上となり、自首すれば弟を殺すとの脅迫が。蟻地獄のような状況に立ち向かう修作だが、二重三重のワナが巧妙に仕掛けられていた。
 サスペンス風味だけど、火事で崩壊した家族の絆の再生のドラマとして読むと味わい深いものがある。
プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
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