つれづれっぽく読書雑記~気ままにブックレビュー

「気ままに書評・ブックレビュー」のカテゴリーページ。
日ごろから雑多に読んでいる本・書籍について、読書感想文とか雑記とか、つれづれ気ままに書評・ブックレビューを記していきます。

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2007年03月16日

「人間の暗闇―ナチ絶滅収容所長との対話」ギッタ・セレニー

 イギリスの女性ジャーナリストであるギッタ・セレニーが、ホロコーストに携わった絶滅収容所長・フランツ・シュタングルを獄中で70時間にわたってインタビュー。
 綿密な補足取材を加えて1974年に出版したのが本書「人間の暗闇―ナチ絶滅収容所長との対話」。
 日本では、アウシュビッツなどの「強制収容所」が有名だが、シュタングルは、ユダヤ人を殺戮するためだけの目的で建設された計4カ所の「絶滅収容所」のうち2カ所の所長を歴任。
 まさにホロコーストの現場責任者であり、直接当事者である。
 ガス室を使った大量殺戮「ラインハルト作戦」の犠牲者は、150万人とも言われる。
 なぜ人間があのような行動をとることができたのか?――この疑問はそのまま“人間の良心”が、戦時下という極限状況において、どのように作用し、どのように妨げられたかを見つめることだ。
 インタビューを読み進むうち、シュタングルは明らかに良心をもった人間であり、仕事を断れば自分が殺されるかもしれないという追い込まれた状況で任務を遂行していたことが分かり、心苦しく、何ともやり切れない思いになる。
 ホロコーストの直接当事者との対話を通して人間心理を掘り下げた貴重な一書だ。

2007年03月08日

「自然発見ガイド 野鳥―しぐさでわかる身近な野鳥」市田 則孝ほか

 これから温かくなって、町中や公園などで鳥を見かけることが多くなる。
 しかし、種類やどんな鳥かまではなかなかわからないもの。
 そんな時に役立つのが本書「自然発見ガイド 野鳥―しぐさでわかる身近な野鳥」。
 身近な野鳥177種を観察するのに、とても便利なガイドブックとなっている。
 細密画と写真がふんだんに使われ、種類と名前を知るのに一目瞭然。
 さらには求愛や飛び方や疑似攻撃などが分かりやすく解説され、鳥たちの行動の意味がよく分かる。
 66種類の鳥のさえずりを収録したCD付き。

2007年03月05日

「日本の歴史をよみなおす」網野善彦

 「百姓は農民ではない」
 「日本は孤立した島国ではない」
 「日本人は単一民族ではない」
 「東日本と西日本はもともと違う文化圏である」
 ――戦後、ステレオタイプ化された保守主義と進歩史観が横行するなかで、新視点からの問いかけを発し続ける歴史学者・網野善彦氏。
 本書「日本の歴史をよみなおす」を通して「歴史を学ぶことは楽しい」ということを実感できる。
 新しいことに触れる楽しさ。「知る」ことに対するワクワクするような高揚感。
 年表など傍らに投げ置いて、過去という闇の中に埋もれてしまった歴史というドラマを堪能できる。
 社会に出てから歴史を眺めなおすと、学生の頃には感じなかった全く新しい発見、驚きがある。
 そんなあれこれが散りばめられた珠玉の一冊だ。

2007年03月01日

「天下布武 夢どの与一郎」安部龍太郎

 先日紹介した津本陽の「覇王の夢」に続いて織田信長が登場。
 ただし本作は、信長に仕える長岡与一郎(後の細川忠興)に光を当てる。
 西欧列強に比肩する日本を創り出そうという主君・信長の「夢」実現へ、仲間の万見仙千代、荒木新八郎とともに命を燃やす与一郎。
 しかし、足利義昭や朝廷と対立する信長は、本能寺の変で横死してしまう。
 その陰には謎の勢力「用捨一揆」の存在があった。
 信長への忠誠と、固い友情で結ばれた与一郎らの命運は……。
 新しい視点から戦国時代の動乱を描いた意欲作。

2007年02月26日

「ひょうたん」宇江佐真理

 父の遺した骨董店を賭け事で潰しかけた音松。
 将来を誓い合った男に捨てられたお鈴。
 そんな二人が寄り添って立て直した古道具屋に、ある日、浪人から一振りの刀が持ち込まれた。
 調べてみると、最上大業物の名刀だった。音松は浪人に1両を融通した……。
 底抜けにお人よしの夫婦が営む古道具屋を舞台にして、江戸に息づく熱い人情と心意気を、情緒豊かに描いた連作6編。
 今の世の中、「人情」に触れてほっと一息つくほど救われた気持ちになる時はない。
 是非、一読をお薦めする。

2007年02月24日

「覇王の夢」津本陽

 妥協を許さない現実主義と底知れぬ猜疑心で、天下統一に突き進んでいった織田信長。
 世界は大航海時代。
 その時代の空気の中で、信長は未曽有の構想を抱く――それは天下統一から海外制覇への道だった。
 天正10年6月2日、信長が朝廷へ向かう4時間前に起きた光秀の謀叛。
 これがなければ、彼は朝廷に暦の改定を要求し、時間をも支配したかもしれない。
 乱世に生きた英雄の夢を描き出す筆致に、読む者の胸まで躍る。

2007年02月22日

「鬼ともののけの文化史」笹間良彦

 中国では「鬼」と言えば死者の霊魂・亡霊のこと。
 このことからも分かる通り、この文字は亡霊の象形だ。
 この世から隠れたものだから「隠」という。
 では角をはやし、鉄の棒を持つという造形はどこから来たのか。
 死者の幽魂を鬼(隠)とする中国の思想とインドの羅刹・夜叉の図像が習合したものと著者である笹間良彦氏は考える。
 奈良・平安、動乱期、鎌倉・室町以降と、それぞれの時代の「鬼」「もののけ」の変遷・変化を眺め、その民俗学的な意味を探る。
 豊富な図像を見るだけでも楽しい一書。

2007年01月20日

「空飛ぶタイヤ」池井戸潤

 トレーラーから外れたタイヤが歩道を歩いていた主婦を直撃。死亡事故となる。
 メーカーは整備不良が原因と発表し、警察は運送会社の社長・赤松を立件しようとする。
 赤松は銀行からも取引を断られ、小学生の息子までもが、いじめの対象にされる。
 だが赤松は車両自体に欠陥があったと信じ、名門自動車会社に挑んでいった。
 大財閥の内幕を、臨場感たっぷりに描く社会派サスペンスだ。
プロフィール
etacky エタッキー
 地方在住者。
 若干、活字中毒気味。
 ただし読書速度は速くはないので、気ままに読み進めています。
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